日本列島縦断4,400km

遠征全装備・南日本編

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沖縄や九州地方は知っての通り、多くの島が点在している。シーカヤックでの島から島への横断はとても魅力的だが、同時に幾つかのリスクも背負わなくてはならなくなる。それだけに普段でのコースタルカヤッキングでは持たない特殊な装備を持ったり、長時間漕いでも疲れにくく、そこそこのスピードを維持できるカヤックが必要だった。上記のことからも、カヤックはニンバス社の『スカーナ』を選んだ。最大容量は900リットル近くあり、一言でいうと「何でも積める」カヤックだ。最大幅が76cmあるカヤックなので必然的にパドルも長くなった。パドルはニンバス社のチヌーク245cmを使用した。満載のカヤックを漕ぎ進めるにはちょうど良いブレード面積で、自分にとっては最高の組み合わせだった。また、この旅ではとにかく横断する回数が多い。そして夜間パドリングも多いので普段のコースタルカヤッキングで持つ装備以外の物では、ナビゲーションイクイップメントではGPSを使用。その他、カヤックに備え付けたマリンコンパス2個。そして各々が持っていたハンディコンパスが2個。そして、海図を使用した。沖縄・九州地方に関しては問答無用海図でなければならない。池間島から久米島への230kmの横断時には、海図に2マイルごとに経線・緯線の線を引きカヤック上からでも一目で自分の位置だしが出来るように手を入れておいた。エマージェンシーに関しては、フレアー、信号紅炎、そして夜間パドリングにも使用するサイリウムを持った。通信システムはアマチュア無線(奄美大島から)とNTTから衛星携帯電話(池間島〜久米島間のみ)をレンタルして持っていた。念のために断っておくが、緊急時のアマチュア無線による救助要請はかなり高い確率で無理と思う方が無難である。僕は、アマチュア無線の特性を知るため、また個人での楽しみの範囲で積んでいただけである。海上から、そして上陸した場所から何度となく無線通信を楽しんだ。衛星携帯電話は池間島〜久米島の230kmのみをレンタルで使用した。万一のお守り代わりと思って持っていただけだ。出発前、試しに何度か使用したが、静かな海上でもあの重たく大きな電話機を左手に持ちアンテナを北極星に向けて、尚且つ右手でダイヤルするなど海上では無理に等しかった。考えてみれば判ると思うが、あの大海原で助けを求める緊急時に、そんな物を海上で使用できるだろうか。先ずはその状況に陥らない。そして自分自身が全ての責任を負う。これがシーマンとしての第一条件ではなかろうか。
ミドルコンパートメント ミドルデッキ ボトム コックピット前部 無線アンテナ スターンコンパートメント ラダーワイヤー
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SKANA NIMBUS

スカーナには容量の大きさ、安定性どれをとっても長距離の旅では必要なものが揃っていた。各々のキャンプ道具の他に、共同装備そして食料水等をあっさりとカヤック内に収容する事が出来た。センターハッチには食料品を積んでいたのだが、小さなカラーボックスをそのまま出し入れすることが出来るほど大きかった。荷物に対してカヤックの容量は何も心配することはなかった。ハッチだけなくコックピットまわりが非常に大きいのも長距離の旅では非常に有効になる。池間島から久米島への横断時には、最悪のことを考え60時間分の飲食料を持ったが、それらもコックピットだけで楽々と収納出来た。バウマンとスターンマンとの間隔も広いため、両者のパドリングがバラバラになってもパドルが当たってしまうこともほとんどない。休憩時に足を伸ばしたり、時にはカヤックから足を出したりと、色々な格好を出来るので体がとても楽だった。反面、荷物を満載した時のスカーナは更に安定性が増すためにラダーが無いと操縦不可能に近い状態になる。このタンデムクラスのラダーはシングルカヤックの2倍以上の幅があり、とにかくラダー操作が重い。230kmの後、41時間踏み続けていた僕の足は感覚が麻痺して、カヤックから出た後、歩けなかったくらいだった。

CHINOOK NIMBUS

クバガサ アンダーシャツ ショートパンツ サンダル
使用したパドルはニンバス社のチヌーク。カヤックの満載時の重量、そしてカヤックの幅を考えると必然的にこのパドルでこの長さになった。このパドルには「ゆっくり引いてくる」という漕ぎ方が一番しっくりとして、同じテンポの繰り返しということに対して全く疲れを感じないパドルだった。僕はパドルの種類や長さが変わっても常にフェザーリングで漕ぐが、手首の故障も一度もなかった。ちなみにスペアパドルはニンバス社のトレードウインドを持っていた。

パドリングウェア

ウェアに関しては、基本的に夏仕様である。6月の沖縄はすでに関東で、いう夏で海水パンツにTシャツで十分である。日焼けによる体力消耗を防ぐため、漕いでいるときは薄手の河川の長袖シャツを着ていた。とにかく沖縄の日差しは強烈である。当初、キャップ型の帽子をかぶろうと思っていたが、首まわりがとても日差しを遮れなかった。そこで、郷に入らば郷に従えで、沖縄特有のクバ笠を購入した。頭全体に密着することもないので風通しがよく、頭が痒くなることもなかった。つばが大きいので日陰になる部分が多く、このクバ笠は思いのほか役に立った。関東に入る頃になると、ウェットのロングジョンとブーツを着用した。
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